サイトへ戻る

NHK「きょうの料理」

3つのスパイスの理由

· スパイス料理研究家として

3/20・21日放送分「NHKきょうの料理」にて、スパイスで春野菜をおいしく、という話をさせていただきました。

★3/20 NHK Eテレ 本放送 午後9時〜9時25分

★3/21 NHK Eテレ 再放送 午前11時〜11時25分

今回選んだ3つのスパイス詳細と理由をここで述べておきたいと思います。

まず共通して言えること。それは、おそらくご近所の庶民的なスーパーで簡単に手に入るであろうということ。

スパイスは流通が多く実用しやすいものでざっと30種類ほどあります。あーだこーだと細かいことを言うと100種類。非現実的な珍しいものや限定的なものも含めると200種類ともいわれるほどめちゃんこたくさんあります。

そんな中でこれは本当に誰でも使える、実際に実用頻度が高いのが今回ご紹介した3つです。それでは下記に列記していきましょう。

ターメリック

南アジアなどでカレーといえばまずこれ。黄色の素ですね。衣料や食品を染めるだけでなく、結婚式や魔除けとして全身に塗ったりアーユルヴェーダという伝統医療で創傷や胃薬、赤ちゃんのへその緒のケア、風邪の時の喉の薬としても使われます。

味としてはよく本などに苦味があると書かれていますが上質なものは苦味は殆どなく甘いです。これは正確にはターメリックの種類が理由にあります。いくつもあるうち調味料としてふさわしいのはいわゆる秋ウコン。色味が明るい黄色でえぐみが少ないのが特徴です。健康トークでよく耳にするクルクミンももちろん入っていますが、それは他の種類の方が含有量は多いようです。でも多くの南アジア人はこれを薬としても多用しているのは事実です。

料理方もおそらく最も幅が広く、煮物、汁物、炒め物、揚げ物の下味、肉や魚介の抗菌剤などとして使います。

どこでも売ってる上に安価なのも魅力です。なので出来るだけちゃんとしたメーカーのいいものを購入しましょう。いやはや、やっぱり長くなっちゃいますね。次!

クミンシード

ここはNHKのスタッフとの間でもいろいろ話が盛り上がった部分でして、どこでもあるのかと。実は最初この部分はマスタードシードを僕は選んでいたのですが、それはないでっってことでこれになりました。これはターメリックよりもはるかに広い国々で使われていて、アフリカ、ヨーロッパの一部、中近東全般、中央アジア、南米一部などなど。使用頻度はアジア〜中近東が最も多いようです。

香ばしく、これこそ苦味がありますので、単体で使うときは少量がいいですね。でもエキゾチックな風味がするので、食味としての変化は最も感じやすいスパイスです。

よくインド人たちの間では、胃薬としても使われていて、ひどい下痢の際には軽く潰して白湯で飲んじゃいます。またなんとなく不安があるときもこれを意識的に使用します。料理は煮物、炒め物、汁物、揚げ物ぜーんぶOK

下味にも使います。果物や飲み物にもよく使います。

シードだとつぶつぶ食感が楽しめるのと、都合に応じて粗つぶし、包丁で切る、ミルなどでパウダーにするなどして自由に使えます。ただパウダーの場合は味香り共にとても濃厚になるので好き嫌いが分かれるかも。最初はひとつまみ、1人前の料理なら小さじ1/4もあれば十分です。

もしかしたらスーパーにパウダーしか売ってないかもですが、その場合はパウダーを買っちゃってください。で、最初に油で炒めずに、いつもの塩胡椒の感覚で野菜を炒めている最中に2、3回(2人前なら小さじ1/3〜1/2)入れてください。多いなと感じるかもですが、そう言うときは仕上げにレモンにゃライムを多めに入れると中和します。

粗挽き黒胡椒

これこそ世界で最も使われているスパイスです。が、今回はあえて粗挽き黒胡椒に。最たる理由はストライクゾーンが広いから。パウダーだと粉っぽかったり辛くなりすぎる可能性があります。完全なホールでは使いづらいし。ミルをお持ちならいいのですが、意外に皆さん持ってない気もするということで。

これもまた、つぶつぶ食感が楽しめるのと、なにより視覚的にも、あースパイス入ってるなーと感じることができます。

スパイスの魅力って味や薬効だけじゃなく、こうして「見る」というのが実は大きいと思うのです。食べるだけじゃなく、見る、触る、食感、次に香り、味わいという感じ。

スパイスはすべて自然界にある植物の乾燥品。見るだけで、触るだけで元気をもらえます。だから食べるだけでなく、料理するのも楽しいのだと思います。

あと胡椒は辛味はそこそこ、旨味を増幅させてくれるのが魅力です。これは胡椒の持ついくつかの抗酸化物質やその他の成分がなせる技。粉末かホールか、その時々で使う状態によっても違いますが、早ければ1分でその効果は出ます。長くても10分ほど。ようするに炒めものからスープ料理までバッチリというわけです。

チリは入れすぎると修正が難しいですが胡椒ならストライクゾーンが広いから安心。そもそも数百年前までは世界各地が辛味といえば胡椒だったわけですから。栽培が難しいのと流通リスクが高いのとで、ある時代から栽培も流通も容易なチリ(唐辛子)にその座を奪われるような形になったという言い方をする人もいます。

あと薬効もありますが、長くなるのでまたの機会に(´∀`)

胡椒については、僕が主催してきたスパイスジャーナルというミニマガジンの14号が胡椒特集だったのですがすでに完売していて入手困難状態に。ターメリックはスパイスジャーナル02と07に、クミンはスパイスジャーナル03と09に詳しく書いています。

よければ幻冬舎から出ている「おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック」をご参照ください。使い方、ヘルシーの理由、本場の人々の習慣などを書いてます。字が小さいやん、という方は電子も出ていますのでそちらを(^O^)

ってことでぜひぜひこの3つを生活の友にしてみてください!